進路選択ものがたり(6)

あらまし

進路選択の思い出話です。

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今日は卒業式(のハズだった日)です。 めちゃくちゃおめでとうございます。便乗してふわふわした気持ちを楽しみました。

研究室訪問

ずるずると過ごし11月を迎えた頃、 F社の人事の方がボス(先生)に挨拶しに研究室にやって来ることになった。 ボスがこの手のイベントを好まないことはよく知っていたので、 なにが起こるか戦々恐々としていた。

やってきたのは10月に着任した新卒2年目の人事の方。 学部卒なので、研究室のM2と同い年だ。 聞けばこれが初めての訪問らしく、そこでうちのボスを引くというのは間違いなくハズレである。

詳細は省略するが、 人事の方がボスに論破される格好で30分にわたる挨拶は終了した。 まさかこんなことになるとは思っていなかったようで、びっくりした様子でそそくさと帰っていった。 ただ、横で聞いていて、 人事の方がボスの質問に的を射た返事をできていなくて、会話が成り立っていないという感じがした。 ボスの質問は会社や社員の将来を問うようなもので、 これに力強い返答をもらえないというのは率直に残念でもあった。

内定辞退

研究室訪問を経て、さらにF社から気持ちが離れてしまい、本格的に自身の進路を迷い始めた。 こうなると一人で考えていても埒が明かんということで、周りの人にぶつぶつと心境を語ってみたりした。

ある日、研究室の秘書さんに近所で有名なパン屋に連れ出してもらった。 この秘書さんはボスや先輩に比べるとプレーンな視点を持っていて、いつもめちゃくちゃタメになる助言をしてくれるのだが、 このときパン屋に向かう車中での一言が内定辞退を決断する決め手となった。

「きみは研究室に残ることを応援してもらいたいのでは?」

これはまさにそのとおりだった。 周囲には他にも学部卒で就職を決めている人がいたが、そうした方々に進路について助言を求めることはしていなかった。 相談と称して周りの人に絡みはじめた時点で研究室に残りたい気持ちは自分の中で固まっていて、 その決断を後押しする声や情報を集めていたに過ぎなかった。 そうと思うと一気に心が軽くなり、 ズバリと筆者の心境を見抜いた秘書さんには感謝してもしきれない。 以降この出来事を、パン屋の名前からバーニャのパン事件と呼んでいる。

tabelog.com

内定辞退を決めてからはあっという間で、 まずはボスに意向を伝える(賢明な判断と言われた。)。 キャリアセンターと就職担当の先生のところに赴き、 ちょっと大学に迷惑かけちゃうけどすみません的なことを伝える(全く問題ないと言われた。)。 そして心と場所 (邪魔が入らない & 心的ダメージを受ける可能性が高いのですぐに人と会える & 非日常的 な場所を探した結果、 キャンパス内で一番の高層ビルの最上階の部屋が選ばれた。以降この部屋を内定辞退の間と呼んでいる。)の準備をして、いざ人事に電話。 15分ほどのやり取りの末、ちょっと顔だしに来いとか言われることもなくあっさりと辞退は終了した (多少の嫌味は言われた)。 最後に、自尊心を満たすため、自筆の詫び状を送った。

つづく。 進路選択ものがたり(7) - Baggage Claim