学生フォーミュラ四方山ばなし(1)

あらまし

学生フォーミュラのもろもろを書きます。

過去記事の一覧はこちら。 記事一覧 - Baggage Claim

学生フォーミュラとは

学生フォーミュラ活動とは、大雑把にいえば、鳥人間のレーシングカー版である。 チームで1台のレーシングカーを開発し、 その総合運動性能を毎年開催される大会で競う。

学生フォーミュラ大会とは

学生フォーミュラ大会は、モノづくり界隈では非常に有名な競技会である。 毎年、国内外含め100前後のチームが参加。 ココ数年はエントリーが多すぎて上限が設けられるほどである。

大会は5日間の日程で行われる。 最終的に「最もいいレーシングカー」を開発したチームを決めるために、 さまざまなテストや競技が行われる。

  • 車検(Car Inpection):大会の序盤で行われる。実際に人がクルマに搭乗して運動性能を競うことから、クルマが安全な作りになっているか(i.e., レギュレーションを満たした仕様になっているか)を入念に検査される。一項目でも不備があれば、その後の競技には参加できない。
  • 静的審査(Static Event):大会の中盤に行われる。車両の運動性能''以外''の部分で、よい''開発''ができているかを審査する。
    • デザイン:クルマの設計意図や採用した技術・チームエンジニアリングなどについて、メーカーの現役エンジニアとのディスカッションを通して評価される。一貫性のある開発プロセスの説明が求められる。めちゃくちゃ難易度が高い。
    • プレゼンテーション:「開発したクルマを''実際に市場で販売する''ことになり、メーカーに製造を委託する」という仮定のもとで、現役エンジニア扮する製造メーカーの役員に対し開発したクルマをPRし、そのクオリティ(詳細は後述)を競う。お察しの通り、かなり難易度が高い。
    • コスト:開発したクルマのコストをレポートにまとめ、その正確さとパフォーマンス(詳細は後述)を検証する。材料費だけではなく、材料の加工プロセス一つ一つに対してもコストを算出する必要があり、作業としては単純だがめちゃくちゃ準備が大変。
  • 動的審査(Dynamic Event):大会の中盤から終盤にかけて行われる。車両の運動性能を審査する。
    • アクセラレーション:0-75のタイムを競う。要は加速性能。
    • スキッドパッド:コンパクトな8の字のコースを回り、旋回性能を競う。
    • オートクロス:全長1km程度の複雑なコースを1周し、車両の総合的な運動性能を競う。
    • エンデュランス:オートクロスのコースを20周し、運動性能に加えて車両の耐久性能を競う。多くのチームがここでリタイアを喫する鬼門。
    • 効率:要は燃費。良いほうが評価が高い。

各種目毎にスコア(相対評価)が設定されており、獲得した得点で最終的な順位が決定する。 満点は1000点だが、例年500点を超えれば上位20%に入ると言われる。

会場となるエコパ・スタジアムには学生、運営を担うエンジニア、メディア、メーカーのリクルーターやファン(?)が詰めかけ、 1万人以上を動員する非常に規模の大きな大会である。

より正確な情報はこちらを御覧いただきたい。 www.jsae.or.jp

次回は、筆者が所属していたチームについて書いてみたく思う。